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『わたしを空腹にしないほうがいい』くどうれいん
エッセイ・小説・短歌・絵本など
幅広い分野で活躍する
作家くどうれいんさんのデビュー作です。
2016年6月の日記形式で
俳句をタイトルにしたエッセイ。
そしてその一年後の2017年6月の
心象風景が綴られています。
6月1日 芍薬は号泣するやうに散る
わたしを空腹にしないほうがいい。もういい大人なのにお腹がすくとあからさまにむっとして怒り出したり、突然悲しくなってめそめそしたりしてしまう。昼食に訪れたお店が混んでいると友人が「まずい、鬼が来るぞ」とわたしの顔色を窺ってはらはらするので、鬼じゃない!と叱る。ほら、もうこうしてすでに怒っている。さらに、お腹がすくとわたしのお腹は強い雷のように鳴ってしまう。しかもときどきは人の言葉のような音で。この間は「東急ハンズ」って言ったんですよ。ほんとうです、信じて。
本のページをめくってすぐ広がる
この文章に度肝を抜かれ、
なにかに乗っ取られたように
ページをめくり続けたのが2018年でした。
同い年のくどうさんの放つ言葉に魅了され、
気づけば2025年。
そして、またこの文章にまた魅了され、
ほかになにも見えなくなるくらい没頭し、
また読み終わってしまいました。
くどうさんのエッセイに出てくる食べ物は
とても身近で、
誰しもが食べてきたものが多いように感じます。
キューピーのマヨネーズ、トマト、グレープフルーツ、おにぎり。
いままで食べてきたもののはずなのに、
どうしてこんなにもおいしそうに、
愛おしく感じるのでしょう。
くどうれいんさんと同じ年に生まれ、
くどうさんの綴る文章を読み続けられること、
これはほんとうに幸福なことだと感じています。
ずっとずっと書いていてほしい。
空腹にならないように、
菜箸を握っていてほしい。
そう思っています。
『桃を煮るひと』と姉妹のような作品です。
そろえて手元に置いておきたくなる一冊です。
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『わたしを空腹にしないほうがいい』改訂版
著者:くどうれいん
出版:BOOKNERD
装丁:homesickdesign
挿絵:山﨑愛彦
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